本日は、『ドラマチック・リーディングの扉』へ
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この作品は、4部に分けて配信いたします。
― ヴィヨンの妻 ―(1)
作:太宰治 朗読:北村 青子 21分44秒
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― 冒頭文 ―
あわただしく、玄関をあける音が聞えて、私はその音で、眼をさましましたが、それは泥酔の夫の、深夜の帰宅にきまっているのでございますから、そのまま黙って寝ていました。夫は、隣の部屋に電気をつけ、はあっはあっ、とすさまじく荒い呼吸をしながら、机の引出しや本箱の引出しをあけて掻きまわし、何やら捜している様子でしたが、やがて、どたりと畳に腰をおろして坐ったような物音が聞えまして、あとはただ、はあっはあっという荒い呼吸ばかりで、何をしている事やら、私が寝たまま、「おかえりなさいまし。ごはんは、おすみですか? お戸棚に、おむすびがございますけど」と申しますと、
〈注釈〉
・二重廻し(にじゅうまわし)
袖が無くケープが付いている男性用の和装防寒コート。
「インバネス」「とんび」と類似。
太宰治画像:ウィキメディア・コモンズより
BGM:フリー音楽素材 Senses Circuitより
:ニコニコ・コモンズ素材ライブラリーより
:音人On-Jinより
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