2014年05月14日

『 ヴィヨンの妻 』(3)作:太宰治


本日は、『ドラマチック・リーディングの扉』へ
お越し頂きありがとうございます。
この作品は、4部に分けて配信いたします。


― ヴィヨンの妻 ―(3)


作:太宰治  朗読:北村 青子 18分05秒



― 冒頭文 ―

とにかく、しかし、そんな大笑いをして、すまされる事件ではございませんでしたので、私も考え、その夜お二人に向って、それでは私が何とかしてこの後始末をする事に致しますから、警察沙汰にするのは、もう一日お待ちになって下さいまし、明日そちらさまへ、私のほうからお伺い致します、と申し上げまして、その中野のお店の場所をくわしく聞き、無理にお二人にご承諾をねがいまして、その夜はそのままでひとまず引きとっていただき、それから、寒い六畳間のまんなかに、ひとり坐って物案じいたしましたが、べつだん何のいい工夫も思い浮びませんでしたので、立って羽織を脱いで、坊やの寝ている蒲団にもぐり、坊やの頭を撫でながら、いつまでも、いつまで経っても、夜が明けなければいい、と思いました。

『 ヴィヨンの妻 』作:太宰治

〈注釈〉・フランソワ・ヴィヨン
15世紀のフランスの詩人。
中世随一の詩人として高く評価されている。
パリ大学で文学博士号も得たが放蕩のかぎりを尽くし、とうとう殺人、窃盗を犯してパリを逃げ出しフランス中を放浪した。

太宰治画像:ウィキメディア・コモンズより
BGM:フリー音楽素材 Senses Circuitより
   :ニコニコ・コモンズ素材ライブラリーより
   :音人On-Jinより





ドラリー扉マスコット  
今日も、ドラリー扉に来てくれてありがとう★    



    

    

posted by 北村青子 at 23:50| Comment(0) | 朗読作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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