本日は、『ドラマチック・リーディングの扉』へ
お越し頂きありがとうございます。
この作品は、4部に分けて配信いたします。
― ヴィヨンの妻 ―(3)
作:太宰治 朗読:北村 青子 18分05秒
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
― 冒頭文 ―
とにかく、しかし、そんな大笑いをして、すまされる事件ではございませんでしたので、私も考え、その夜お二人に向って、それでは私が何とかしてこの後始末をする事に致しますから、警察沙汰にするのは、もう一日お待ちになって下さいまし、明日そちらさまへ、私のほうからお伺い致します、と申し上げまして、その中野のお店の場所をくわしく聞き、無理にお二人にご承諾をねがいまして、その夜はそのままでひとまず引きとっていただき、それから、寒い六畳間のまんなかに、ひとり坐って物案じいたしましたが、べつだん何のいい工夫も思い浮びませんでしたので、立って羽織を脱いで、坊やの寝ている蒲団にもぐり、坊やの頭を撫でながら、いつまでも、いつまで経っても、夜が明けなければいい、と思いました。
〈注釈〉・フランソワ・ヴィヨン
15世紀のフランスの詩人。
中世随一の詩人として高く評価されている。
パリ大学で文学博士号も得たが放蕩のかぎりを尽くし、とうとう殺人、窃盗を犯してパリを逃げ出しフランス中を放浪した。
太宰治画像:ウィキメディア・コモンズより
BGM:フリー音楽素材 Senses Circuitより
:ニコニコ・コモンズ素材ライブラリーより
:音人On-Jinより
今日も、ドラリー扉に来てくれてありがとう★
【関連する記事】
- 『夢十夜 第八夜/九夜/十夜』(試聴版)/ 夏目漱石没後100年企画
- 『夢十夜 第七夜』(試聴版)/ 夏目漱石没後100年企画
- 『夢十夜 第六夜』(試聴版)/ 夏目漱石没後100年企画
- 『夢十夜 第五夜』(試聴版)/ 夏目漱石没後100年企画
- 『夢十夜 第四夜』(試聴版)/ 夏目漱石没後100年企画
- 『夢十夜 第三夜』(試聴版)/ 夏目漱石没後100年企画
- 『夢十夜 第二夜』(試聴版)/ 夏目漱石没後100年企画
- 『 寒山拾得縁起 』 作:森 鴎外
- 『 寒山拾得 』 作:森 鴎外
- 『 夢十夜 第一夜 』 作:夏目漱石
- 『セロ弾きのゴーシュ』(2) 作:宮沢賢治
- 『セロ弾きのゴーシュ』(1) 作:宮沢賢治
- 『 燈籠 』作:太宰治
- 『 ヴィヨンの妻 』(4)作:太宰治
- 『 ヴィヨンの妻 』(2)作:太宰治