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― 寒山拾得 ―
作:森 鴎外 朗読:北村青子 26分16秒
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― 冒頭文 ―
唐の貞観のころだというから、西洋は七世紀の初め日本は年号というもののやっと出来かかったときである。閭丘胤という官吏がいたそうである。もっともそんな人はいなかったらしいと言う人もある。なぜかと言うと、閭は台州の主簿になっていたと言い伝えられているのに、新旧の唐書に伝が見えない。主簿といえば、刺史とか太守とかいうと同じ官である。支那全国が道に分れ、道が州または郡に分れ、それが県に分れ、県の下に郷があり郷の下に里がある。州には刺史といい、郡には太守という。一体日本で県より小さいものに郡の名をつけているのは不都合だと、吉田東伍さんなんぞは不服を唱えている。
〈 注釈 〉
・唐の貞観 : 627年〜649年。唐の太宗の年号。
・閭丘胤 : 「寒山子詩集」序にみえる名だが、それ以外の文献に見あたらず、実在の人物かは疑問視されている。正しくは、閭丘(りょきゅう)、胤(いん) 。
・台州: 唐代の地名。
・主簿: 文書・帳簿を管理する役。
・素問や霊柩: どちらも中国最古の医書。
・紅療治: 大正時代に流行した紅花を利用する民間療法。
・ 豊干(ぶかん): 「宋高僧伝」にみえる僧の名。寒山・拾得とあわせて国清寺の三隠といわれる。
・輿(よ、こし): 両手で、または肩にのせて、運ぶ乗り物。
・粟を生じた: 鳥肌が立った。
・賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ): 仏法を護持する十六羅漢の首座。
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Wikipedia→ 寒山とは? 拾得とは? 風狂?
● 国宝 『 寒山拾得図 』(国立博物館所蔵)
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