2014年11月13日

『セロ弾きのゴーシュ』(2) 作:宮沢賢治


本日は、『ドラマチック・リーディングの扉』へ
お越し頂きありがとうございます。
この作品は、2部に分けて配信いたします。


― セロ弾きのゴーシュ ― (2)


作:宮沢賢治 朗読:北村青子 19分38秒


セロ弾きのゴーシュ/チェロとねずみの親子

BGM :フリー音楽素材Senses Circuitより
効果音 :ニコニコ・コモンズ素材ライブラリーより
     :NHK クリエイティブライブラリーより
記事絵 : 東洲斎 重吉


― 冒頭文 ―

次の晩もゴーシュは夜中すぎまでセロを弾いてつかれて水を一杯のんでいますと、また扉とをこつこつ叩くものがあります。今夜は何が来てもゆうべのかっこうのようにはじめからおどかして追い払ってやろうと思ってコップをもったまま待ち構えて居りますと、扉がすこしあいて一疋の狸の子がはいってきました。ゴーシュはそこでその扉をもう少し広くひらいて置いてどんと足をふんで、「こら、狸、おまえは狸汁ということを知っているかっ。」とどなりました。

〈注釈〉
・インドの虎狩り
物語、作中の架空の曲。
(まちがっても、楽譜を探さないで下さい。インド人の虎刈り頭は、存在しますでしょうけど。




ドラリー扉マスコット  
今日も、ドラリー扉に来てくれてありがとう★




    

    
posted by 北村青子 at 00:13| Comment(0) | 朗読作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月11日

『セロ弾きのゴーシュ』(1) 作:宮沢賢治


本日は、『ドラマチック・リーディングの扉』へ
お越し頂きありがとうございます。
この作品は、2部に分けて配信いたします。


― セロ弾きのゴーシュ ― (1)


作:宮沢賢治 朗読:北村青子 23分30秒


セロ弾きのゴーシュ/猫とかっこう

BGM :フリー音楽素材 Senses Circuitより
効果音 :ニコニコ・コモンズ素材ライブラリーより
     :小森平の使い方より
記事絵 : 東洲斎 重吉


― 冒頭文 ―

ゴーシュは町の活動写真館でセロを弾く係りでした。けれどもあんまり上手でないという評判でした。上手でないどころではなく実は仲間の楽手のなかではいちばん下手でしたから、いつでも楽長にいじめられるのでした。ひるすぎみんなは楽屋に円くならんで今度の町の音楽会へ出す第六交響曲の練習をしていました。トランペットは一生けん命歌っています。ヴァイオリンも二いろ風のように鳴っています。クラリネットもボーボーとそれに手伝っています。ゴーシュも口をりんと結んで眼を皿のようにして楽譜を見つめながらもう一心に弾いています。





ドラリー扉マスコット  
今日も、ドラリー扉に来てくれてありがとう★




    

    
posted by 北村青子 at 22:00| Comment(0) | 朗読作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月08日

『 燈籠 』作:太宰治


本日は、『ドラマチック・リーディングの扉』へ
お越し頂きありがとうございます。


― 燈籠 ―


作:太宰治  朗読:北村 青子 24分00秒


― 冒頭文 ―

言えば言うほど、人は私を信じて呉れません。逢うひと、逢うひと、みんな私を警戒いたします。ただ、なつかしく、顔を見たくて訪ねていっても、なにしに来たというような目つきでもって迎えて呉れます。たまらない思いでございます。もう、どこへも行きたくなくなりました。すぐちかくのお湯屋へ行くのにも、きっと日暮をえらんでまいります。誰にも顔を見られたくないのです。ま夏のじぶんには、それでも、夕闇の中に私のゆかたが白く浮んで、おそろしく目立つような気がして、死ぬるほど当惑いたしました。きのう、きょう、めっきり涼しくなって、そろそろセルの季節にはいりましたから、早速、黒地の単衣に着換えるつもりでございます。

『 燈籠 』作:太宰治

BGM:フリー音楽素材 Senses Circuitより
    :MIDI pro musica antiquaより


〈 注釈 〉

・ セルの季節: 春先や秋口。綾織の洋服地を表すsergeをセルジと読み、縮んで「セル」。戦前に春先や秋口の着物として流通していた毛織物。


●●●● Coffee Break ●●●●

● ニヒリズム(Wikipedia)

● ニヒリズムについて
 貫 成人著 『 哲学マップ 』(ちくま新書)
 第六章近代の不安より引用





ドラリー扉マスコット  
今日も、ドラリー扉に来てくれてありがとう★    


『 燈籠 』等、中期の作品から
秀作14編を収録

     

    




posted by 北村青子 at 13:42| Comment(0) | 朗読作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月21日

『 ヴィヨンの妻 』(4)作:太宰治


本日は、『ドラマチック・リーディングの扉』へ
お越し頂きありがとうございます。
この作品は、4部に分けて配信いたします。


― ヴィヨンの妻 ―(4)


作:太宰治  朗読:北村 青子 18分40秒


― 冒頭文 ―

ほんの三十分、いいえ、もっと早いくらい、おや、と思ったくらいに早く、ご亭主がひとりで帰って来まして、私の傍に寄り、「奥さん、ありがとうございました。お金はかえして戴きました」「そう。よかったわね。全部?」ご亭主は、へんな笑い方をして、「ええ、きのうの、あの分ぶんだけはね」「これまでのが全部で、いくらなの? ざっと、まあ、大負けに負けて」「二万円」「それだけでいいの?」「大負けに負けました」「おかえし致します。おじさん、あすから私を、ここで働かせてくれない? ね、そうして! 働いて返すわ」「へえ? 奥さん、とんだ、おかるだね」私たちは、声を合せて笑いました。

『 ヴィヨンの妻 』作:太宰治

〈注釈〉・エピキュリアン
快楽主義者、享楽主義者。

太宰治画像:ウィキメディア・コモンズより
BGM:フリー音楽素材 Senses Circuitより
   :ニコニコ・コモンズ素材ライブラリーより
   :音人On-Jinより





ドラリー扉マスコット  
今日も、ドラリー扉に来てくれてありがとう★    


    

    

posted by 北村青子 at 04:08| Comment(0) | 朗読作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月14日

『 ヴィヨンの妻 』(3)作:太宰治


本日は、『ドラマチック・リーディングの扉』へ
お越し頂きありがとうございます。
この作品は、4部に分けて配信いたします。


― ヴィヨンの妻 ―(3)


作:太宰治  朗読:北村 青子 18分05秒



― 冒頭文 ―

とにかく、しかし、そんな大笑いをして、すまされる事件ではございませんでしたので、私も考え、その夜お二人に向って、それでは私が何とかしてこの後始末をする事に致しますから、警察沙汰にするのは、もう一日お待ちになって下さいまし、明日そちらさまへ、私のほうからお伺い致します、と申し上げまして、その中野のお店の場所をくわしく聞き、無理にお二人にご承諾をねがいまして、その夜はそのままでひとまず引きとっていただき、それから、寒い六畳間のまんなかに、ひとり坐って物案じいたしましたが、べつだん何のいい工夫も思い浮びませんでしたので、立って羽織を脱いで、坊やの寝ている蒲団にもぐり、坊やの頭を撫でながら、いつまでも、いつまで経っても、夜が明けなければいい、と思いました。

『 ヴィヨンの妻 』作:太宰治

〈注釈〉・フランソワ・ヴィヨン
15世紀のフランスの詩人。
中世随一の詩人として高く評価されている。
パリ大学で文学博士号も得たが放蕩のかぎりを尽くし、とうとう殺人、窃盗を犯してパリを逃げ出しフランス中を放浪した。

太宰治画像:ウィキメディア・コモンズより
BGM:フリー音楽素材 Senses Circuitより
   :ニコニコ・コモンズ素材ライブラリーより
   :音人On-Jinより





ドラリー扉マスコット  
今日も、ドラリー扉に来てくれてありがとう★    



    

    

posted by 北村青子 at 23:50| Comment(0) | 朗読作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月01日

『 ヴィヨンの妻 』(2)作:太宰治


本日は、『ドラマチック・リーディングの扉』へ
お越し頂きありがとうございます。
この作品は、4部に分けて配信いたします。


― ヴィヨンの妻 ―(2)


作:太宰治  朗読:北村 青子 17分47秒



― 冒頭文 ―

それから十日ほど経って、こんどは大谷さんがひとりで裏口からまいりまして、いきなり百円紙幣を一枚出して、いやその頃はまだ百円と言えば大金でした、いまの二、三千円にも、それ以上にも当る大金でした、それを無理矢理、私の手に握らせて、たのむ、と言って、気弱そうに笑うのです。もう既に、だいぶ召上っている様子でしたが、とにかく、奥さんもご存じでしょう、あんな酒の強いひとはありません。酔ったのかと思うと、急にまじめな、ちゃんと筋のとおった話をするし、いくら飲んでも、足もとがふらつくなんて事は、ついぞ一度も私どもに見せた事は無いのですからね。

『 ヴィヨンの妻 』作:太宰治


太宰治画像:ウィキメディア・コモンズより
BGM:フリー音楽素材 Senses Circuitより
   :ニコニコ・コモンズ素材ライブラリーより
   :音人On-Jinより





ドラリー扉マスコット  
今日も、ドラリー扉に来てくれてありがとう★    




    

    

posted by 北村青子 at 05:46| Comment(0) | 朗読作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月24日

『 ヴィヨンの妻 』(1)作:太宰治


本日は、『ドラマチック・リーディングの扉』へ
お越し頂きありがとうございます。
この作品は、4部に分けて配信いたします。


― ヴィヨンの妻 ―(1)


作:太宰治  朗読:北村 青子 21分44秒


― 冒頭文 ―

あわただしく、玄関をあける音が聞えて、私はその音で、眼をさましましたが、それは泥酔の夫の、深夜の帰宅にきまっているのでございますから、そのまま黙って寝ていました。夫は、隣の部屋に電気をつけ、はあっはあっ、とすさまじく荒い呼吸をしながら、机の引出しや本箱の引出しをあけて掻きまわし、何やら捜している様子でしたが、やがて、どたりと畳に腰をおろして坐ったような物音が聞えまして、あとはただ、はあっはあっという荒い呼吸ばかりで、何をしている事やら、私が寝たまま、「おかえりなさいまし。ごはんは、おすみですか? お戸棚に、おむすびがございますけど」と申しますと、

『 ヴィヨンの妻 』作:太宰治

〈注釈〉
・二重廻し(にじゅうまわし)
袖が無くケープが付いている男性用の和装防寒コート。
インバネス」「とんび」と類似。


太宰治画像:ウィキメディア・コモンズより
BGM:フリー音楽素材 Senses Circuitより
   :ニコニコ・コモンズ素材ライブラリーより
   :音人On-Jinより






ドラリー扉マスコット  
今日も、ドラリー扉に来てくれてありがとう★




    

    

posted by 北村青子 at 06:15| Comment(0) | 朗読作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月03日

『 トロッコ 』作:芥川龍之介


本日は、『ドラマチック・リーディングの扉』へ
お越し頂きありがとうございます。

朗読公演を行なった作品ですが、録音作品として成立させるには、とってもむずかしく、一筋縄では行かないですね。行きはよいよい。帰りはこわい。


― トロッコ ―


作:芥川龍之介  朗読:北村 青子 17分49秒



― 冒頭文 ―

小田原熱海間に、軽便鉄道敷設の工事が始まったのは、良平の八つの年だった。良平は毎日村外れへ、その工事を見物に行った。工事を ― といったところが、唯トロッコで土を運搬する ― それが面白さに見に行ったのである。トロッコの上には土工が二人、土を積んだ後に佇んでいる。トロッコは山を下るのだから、人手を借りずに走って来る。煽るように車台が動いたり、土工の袢天の裾がひらついたり、細い線路がしなったり ― 良平はそんなけしきを眺めながら、土工になりたいと思う事がある。

『 トロッコ 』作:芥川龍之介


トロッコ画像: ウィキメディア・コモンズより
BGM:フリー音楽素材 Senses Circuitより
    :ニコニコ・コモンズ素材ライブラリーより






ドラリー扉マスコット  
今日も、ドラリー扉に来てくれてありがとう★



    


   
   トロッコ [DVD]尾野真千子 (出演), 川口浩史 (監督)
posted by 北村青子 at 01:00| Comment(0) | 朗読作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月19日

『 雛 』(3)作:芥川龍之介


本日は、『ドラマチック・リーディングの扉』へ
お越し頂きありがとうございます。
この作品は、3部に分けて配信いたします。


― 雛 ― (3)


江戸時代に隆盛を誇ったが、明治維新を境に没落してしまう旧家。
生活のために売られる雛人形への愛惜の念と、文明開化の波にのまれてゆく家族の姿が、老女の回想を通して静かに語られる。


作:芥川龍之介  朗読:北村 青子 17分44秒



― 冒頭文 ―

かう云ふ騒きがあつてから、一時間程後でございませう。久しぶりに見世へ顔を出したのは肴屋の徳蔵でございます。いえ、肴屋ではございません。以前は肴屋でございましたが、今は人力車の車夫になつた、出入りの若いものでございます。この徳蔵には可笑しい話が幾つあつたかわかりません。その中でも未に思ひ出すのは苗字の話でございます。

『 雛 』 作:芥川龍之介

〈注釈〉
・会津っ原から煉瓦通り
千代田区大手町あたりにあった原、会津藩の屋敷跡。から、新橋・銀座間にできた西洋風の市街。
・赤毛布(あかゲット)

BGM:フリー音楽素材 Senses Circuitより
    :ニコニコ・コモンズ素材ライブラリーより



●●●● Coffee Break ●●●●

● 芥川龍之介「雛」論 ―空間構造の視点から―
著者:早澤正人 

● 文明開化の共同幻想について
岸田秀 著 『 ものぐさ精神分析 』(中公文庫)
国家論より引用

● オッペケペー節





ドラリー扉マスコット  
今日も、ドラリー扉に来てくれてありがとう★




    


  
posted by 北村青子 at 00:34| Comment(0) | 朗読作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月16日

『 雛 』(2)作:芥川龍之介

本日は、『ドラマチック・リーディングの扉』へ
お越し頂きありがとうございます。
この作品は、3部に分けて配信いたします。


― 雛 ― (2)

江戸時代に隆盛を誇ったが、明治維新を境に没落してしまう旧家。
生活のために売られる雛人形への愛惜の念と、文明開化の波にのまれてゆく家族の姿が、老女の回想を通して静かに語られる。


作:芥川龍之介  朗読:北村 青子 15分12秒



― 冒頭文 ―

するともう月末に近い、大風の吹いた日でございます。母は風邪に罹つたせいか、それとも又下唇に出来た粟粒程の腫物のせいか、気持が悪いと申したぎり、朝の御飯も頂きません。わたしと台所を片づけた後は片手に額を抑へながら、唯ぢつと長火鉢の前に俯向いているのでございます。

『 雛 』 作:芥川龍之介


〈注釈〉
・風邪(ふうじゃ)
・癲狂院(てんきょういん)
精神科病院を指した語。

BGM:フリー音楽素材 Senses Circuitより
    :ニコニコ・コモンズ素材ライブラリーより



●●●● Coffee Break ●●●●

● 芥川龍之介「雛」論 ―空間構造の視点から―
著者:早澤正人 

● 文明開化の共同幻想について
岸田秀 著 『 ものぐさ精神分析 』(中公文庫)
国家論より引用

● オッペケペー節





ドラリー扉マスコット  
今日も、ドラリー扉に来てくれてありがとう★




    


  
posted by 北村青子 at 17:16| Comment(4) | 朗読作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする